『ゆっくり、いそげ』感想

読書

東京都西国分寺のクルミドコーヒーを運営している、影山知明氏の仕事や商売を考えて実践してきたなかで得られた結論的なことをまとめられた内容でした。

同人作家あるいはアマチュア写真作家として、本書を読んでの気づきが大きかったです。内容をシャッフルしていますが、私なりに整理しておきたいメモとして残しておきます。

本書の問い

社会のすべてが自己利益の最大化を目指すことを前提としなくても良いのではないか?

商売に儲けは必要だけど、根本の動機や目的がお金ではない人もいるから。

仕事とは

そう考える人の仕事とは、自分が提供するモノ・コトを受け取る人に、提供するモノ・コトで良い時間を過ごしてもらうこと

そうした仕事で大事なのは、自分の存在を傾けた、手間ひまをかけた仕事をすること

そして、仕事を受け取った方々に、時間をかけて寄り添い続ける。自分の仕事を愛してくれる人々の心を育てる時間を軽くみない。 なぜなら人は良いモノを受け取ると、受け取った人が次の贈り主になることもあるから。

ただし、世の中の大半はコンビニ化され、消費社会なので、仕事でミリオンヒットを達成するのは一般的に難しいかもしれないけど、局所的にできることはあるのかもしれない。

仕事での関わり方の話

多元的な価値が尊重され実現される社会をつくるには

①特定多数と関わる

②個人として関わる

③直接関わる

ことを意識していくことが大事。

仕事と他人の関係性

仕事では、自分の主体性を発揮し、大変なこともあるけどよろこびがあり、経済的に持続可能であることが大事。

仕事を個人ひとりで実践するだけでなく、組織の内外にわたって仕事を通じて交換する原則を互いに利用する関係から互いに支援する関係に替えていく。

互いに利用する関係は、相手に価値があることを求める結果として、自分自身にも価値が求められるプレッシャーがある。これが正の効用をもたらすこともあるが、常に不安がつきまとう

互いに支援する関係は、自分の利益を犠牲にすることではなく、相手のちょっと挑戦したいことを自己決定させて、支援する

個人の自由

現在は自由な孤立を選んだ人が、気の合う人とつるんでいる場面が多い。これは気が合わなくなったらつるめないことを意味している。

気が合わない、意見が合わない人との違いを乗り越える術を身につける必要がある。

目指すのは、他人と共に自由に生きること。自分のことは自分で決める、周りから干渉されないことを小さな自由とするなら、他人と共に自由に生きることは大きな自由。

乗り越える術は、他人と関わるときに「話すより聞くこと」と「違いを楽しむ」ことを守ることで身につくのではないか。

他力本願

自分のできることは自分でするのは基本。他力本願は、自分では何もせず他人に頼りっぱなしという意味で受け取る人も多い。

しかし仏教用語では、自分一人で何でもできると思うなという意味がある.

自分の弱いところは周りを頼る、まわりに生かしてもらう。

それが恩返しできるときに、まわりを生かすことになっていく。

個人の仕事の日々でできること

①日々の仕事以外のことを考える

②自分自身と向き合う

③ちょっと挑戦する

これらができる時間をつくる

人間との関わりでは、最初は自分から相手を支援する関係性をつくる。

また、目的や目標を絶対視しないことも大事。「いつまでに○○する」「○○な自分になる」などと強く意識し続けると、できていない自分を強く認識することになる。

不足している自分ではなく、自分は足りているイメージを保つこと。少なくともプラスマイナスゼロの状態であるイメージを持つこと。

おわりに

同人創作活動などをしている中で作家自身の不安定さから、自分の作品を気に入ってくれた人を裏切るようなことを結果的にしてしまう場面があることを時々見聞きします。

あるいは、創る時間を大切にしすぎて、作品を気に入ってくれた人とともに作品を育てる時間を軽視しているように感じられる姿勢も見受けられることがあります。

これらは、自分にとって耳が痛い話です。

同人作家をする以上、作家の皆さんは良い仕事がしたいと思っていると信じていますが、良い仕事とは何か、良い仕事をするための心構え、どういう方法でより良い仕事に近づくかというHow to。この本で再確認できたことが多かったです。

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